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畿央大学大学院健康科学研究科 庄本康治教授 研究室


物理療法は,理学療法における治療手段の一つであります。
近年の技術革新により,物理療法はより身近になり,さまざまな基礎研究により生理学的作用が明らかになりつつあります。
また、それら基礎研究を応用した臨床研究も盛んに行われており、物理療法は、多岐にわたって使用されています。
しかし,本邦のリハビリテーションにおいて十分に臨床応用されていないのが実情です。
本サイトでは,物理療法を効果的に使用していくリハビリテーションの可能性を探求し、臨床の意思決定に少しでも寄与できるような情報を提供すべく,我々の研究室で実施している研究結果などを公表していきたいと考えています。

物理療法(Physical Agents)とは?


物理療法とは,患者に適応される様々な形式のエネルギーや物質やその適用手段を指します。物理療法には,温熱,寒冷,水,圧力,音波,機械的刺激,振動,電流などの物理的刺激を利用した治療があります。

元来,物理療法は物理的な方法を用いる治療法のすべてを意味し,薬物を用いる化学療法と並ぶ医学の源流の一つともいわれていました。しかし,現在のリハビリテーション医学の体系においては,Physical agentsと呼ばれる比較的狭い領域で認識されています。(川村,2007)

 

近年,目覚ましい技術革新により物理療法の新たな種類の機器が開発されています。しかし,医学的および臨床的な進歩は遅れ,リハビリテーション分野における無作為化二重盲検試験が困難なこともあって,物理療法の臨床効果の実証は不十分のまま今日まで経過しています。

 

物理療法といっても,リハ分野だけでなく,心ペースメーカーや機能的電気刺激(FES),新生児黄疸への光線療法,結石治療の体外衝撃波などさまざまな分野で臨床応用されています。

リハビリテーション分野において,多くの外来診療でも物理療法が実施されていますが,明確な治療ゴールの設定や治療戦略の策定が不十分なまま治療が開始され,適切な手法で適切な効果判定が行われているかどうかは疑問が残ります。

また,入院リハビリテーションにおいても,リハビリテーション室にホコリをかぶった物理療法機器が数多く存在しているのではないでしょうか?

理学療法における物理療法と今後の課題


近年,機器の開発や研究手法,評価方法の発達により,物理療法による生理学的作用が解明されるようになってきました。動物や人体での基礎研究分野ではすさまじいスピードで,研究報告が行われています。例えば,従来から疼痛によく用いられている経皮的電気刺激(TENS)は,刺激周波数の違いで生体内の麻薬様物質の放出が異なることが示されています。また,神経リハビリテーションの分野では,長時間の末梢神経への感覚閾値電気刺激により,対応する大脳運動野の興奮性が増大することや,運動療法と組み合わせることで,その学習効果を高める可能性があることが示されています。このように,基礎分野では新たな知見が多数報告されているものの,リハビリテーション医学の分野で十分応用されていないのが実情です。

 

理学療法における物理療法は,運動療法やADL指導などと並び主要な治療手段の一つであります。米国理学療法士協会では,いずれの物理療法を理学療法の分野で使用する場合,運動療法などの他の治療と組み合わるべきであり,物理療法単独の治療が明らかによいという確固たる証拠がないかぎり物理療法は単独でしようされるべきではないとしています。

 

物理療法は他の医療職と比較して専門性の高い治療手段の一つであり,我々理学療法士にとっては大きなアドバンテージであるといえます。物理療法を扱うことのできる我々理学療法士は,その専門性を高める上でも,単に温めるだけから温熱療法へ,単に電気を流すから電気刺激療法へ変革し,積極的に臨床応用すべきであると考えております。物理療法を運動療法や他の治療と組み合わせることで,より効果的かつ効率的な動作能力の改善に寄与すべく,我々は臨床研究を主体として研究を進めております。

 

当研究会は,さまざまなリハ分野での新たな物理療法の可能性を探りつつ,基礎研究と臨床応用の懸け橋になるような,臨床研究を実施していくことをモットーに日々励んでゆく所存です。

物理医学系リハビリテーション研究会事務局:

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