fMRIによる中枢性疼痛機構に対するTENSの効果

Clin J Pain. 2012 Sep;28(7):581-8.

Functional Magnetic Resonance Imaging of the Effects of Low-frequency Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation on Central Pain Modulation: A Double-blind, Placebo-controlled Trial.

本日の勉強会1本目。TENSの効果をfMRIで見てみようという研究です。デザインはダブルブラインドのsham-controlled studyということでかなり気合の入ったデザインです。対象はインピンジメント症候群の患者さん20名で30分の低周波運動レベルTENSを有痛部位に実施しています。その結果,VASの低下を認め,fMRIでは対側の1次感覚皮質,両側尾側前帯状回,同側補足運動野の活動が減少したとのこと。このfMRIは他者の痛み表情を観察し得られたものをその活動として評価しています。実際のインピンジメント時の痛みをfMRIで撮影していないため,(現実不可能ですが・・・)あくまで間接的評価ですが,shamと比較して変化があるというのは面白い結果だと思います。しかし,気になるのが対象者のインピンジメント症候群罹病期間。1-24か月と差があります。それでは,脳内の疼痛の表象も急性期,慢性期で変わってくるような気がするのですが・・・。そしてこの前帯状回は注意,エラー検出,動機づけ,情動などさまざまな機能を有するところで,そこの活動が減少するというのは新たな発見で面白いと思いました。
TENSの疼痛抑制メカニズムについては,これまでゲートコントロールや内因性オピオイド理論などどちらかというと脊髄レベルまでの話が多かったですが,皮質レベルでの疼痛抑制理論はあまり聞いたことがありません。今後より発展する分野だと思います。