大腿骨骨折後大腿四頭筋に対する神経筋電気刺激

Arch Phys Med Rehabil. 2002 Aug;83(8):1087-92.

Neuromuscular stimulation of the quadriceps muscle after hip fracture: a randomized controlled trial.

 
本日2本目は、大腿骨骨折後大腿四頭筋に対する電気刺激のRCTです。層化ランダム化ダブルブラインドのRCTと研究デザインはかなり強者ですが、今一つ電気刺激介入の理論的根拠にかける内容だと感じました。意味のあるポイントとしては、ホームエクササイズ1日3時間を6週間にて高齢者の患者さんでも副作用なく十分実施可能であったこと、6週間介入直後はSHAM(この研究では感覚刺激レベル)よりも運動閾値上刺激群のほうが筋力が改善していたこと(13週後も改善傾向持続も有意差なし)などが挙げられます。また、前ADLよりも回復した症例が電気刺激群に有意に多かったという結果は、シンプルかつ説得力のあるデータでした。
 回復期リハに所属している私ですが、骨折後急性期病院から直接自宅退院される方も多い中、回復期リハにこられる患者さんは超高齢であったり、合併症があったり、家屋や家庭の環境の問題があったりで、何かと問題をお抱えの患者さんが多い印象です。これだけ全国に病院がある中、かつリハビリテーションを提供している中、ciniiで「大腿骨骨折 理学療法」と調べてみるとわずか8件!!しかも、介入研究は1件のみ・・・。総説論文は山ほど引っかかりますが原著はやはり少ないのですね。
 
そんなことを思いながらpubmed surfingしていると面白そうなstudy protocolが!!あたりまえの極々シンプルな介入ですが、我々が当たり前におこなってることも効果のほどは実は科学的にきちんとした手続きで証明されておらず、シンプルなエビデンスを構築していくことも重要だと再認識しました。
 そこでまた原点回帰・・・臨床の問題点をさぐります。外固定術にてやはり多いのが大腿外側の痛み。中々患側立脚期時間が伸びず、歩容の異常は残存。この痛みの原因は?よくいわれる病態はあるのですが、はたして本当にそうなのでしょうか?末梢だけの問題なのか?介入の理論的根拠は?そこに物理療法が生かせる余地があるのか?可能性は・・・・・・あると思います。取り敢えずもう少し情報収集です。