大腿骨骨折後Mobilityトレーニング

Mobility training after hip fracture: a randomised controlled trial.

Moseley AM, Sherrington C, Lord SR, Barraclough E, St George RJ, Cameron ID.

Age Ageing. 2009 Jan;38(1):74-80.

 

今月の英文抄読は大規模なRCTです。

股関節骨折後の異なる二つのエクササイズプログラムの効果を評価者ブラインドRCTにて比較しています。対象は股関節骨折のため外科的固定実施後、入院リハビリテーションに移行した160名です。
他のリハビリテーション戦略に付加して、介入群は立位での多量(higher dose)のエクササイズを受け、比較対照群は座位もしくは背臥位での少量(lower dose)のエクササイズを受けています。
一次アウトカムメジャーは骨折側の膝伸展筋力と歩行速度であり、介入後およびフォローアップに群間差を認めませんでした。しかし、サブグループ解析では認知症を合併する患者において多量群がより大きな改善を示しました。

本邦でも大腿骨骨折後のリハビリテーションは最も重要なテーマの一つです。しかしながら、有効とされるリハビリテーション介入のエビデンスは依然乏しいのが現状です。医療費抑制の渦中、急性期病院における入院期間はどんどん減少し、術後のリハビリテーションはその根本から変革しなければならない時期にきていると思います。そんな中、物理療法が活躍できる要素は多分にあると考えております。

我々は急性期から回復期にかけて、いかに廃用症候群を予防するか、筋力および痛みを改善させるか、ADLを早期に改善し、QOLの向上を図るか、その一つの補助ツールとして電気刺激の応用を試みております。結果は順次報告していきたいと思います。